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ピッチ上。
甲府のカウンター。
ライン際を駆け上がる石浜。
並走する清川。
電話で会話した夜。
ETUに戻るつもりはないことを
告げる石浜。
「気を悪くするかもしれないけど」
「聞いてくれるか？キヨ」
ピッチ上。
ETUの中盤を突破する甲府。
どんどん人数をかけていく。
オーバーラップする石浜に
サイドチェンジのパスが出る。
競り合う二人。
再び回想シーン。
甲府に来てからの
気持ちを語る石浜。
自分の甘さを捨てたくて
ETUを出たこと。
甲府に来て分かったのは
ETUは恵まれているということ。
地方弱小チームの現実を明かす石浜。
選手の年齢層が高く
レンタルの選手が多いこと。
若手が育っても
他のクラブに買われてしまうこと。
代表クラスを引き止める資金がないこと。
反論する清川。
ETUにも金がない・・・
「やっぱ中にいるとわかんないよな」
「それが違うんだよ全然」
話をつづける石浜。
甲府のホームスタジアムに、たくさんのスポンサーの
看板が並んでいるのは、地元の小さな会社やお店が
お金を出し合ってクラブを支えているから。
ETUは大江戸通運がずっとバックに付いている。
だから代表レベルの選手がいられるんだ、と。
突っかかる清川。
ETUは金があんのに情けねぇって話かよ・・・
「金だけじゃない」
「東京だろ ETUは」
東京ってだけで人は集まる。
東京ヴィクトリーみたいなビッグクラブの存在を
言い訳にして今の順位や観客動員に満足している。
甘えてるんだよ、ETUは・・・
「そこらへんにしておけよ ハマ！」
「よくもそんな恩知らずなこと言えんな！！」
声を荒げる清川。
「情の話は今してない」
「客観的にどう見えてるかの話をしてるんだ」
と動じない石浜。
そして話を続ける。
「ETUはぬるい」
自分のようなメンタルの
弱い選手を生みだした環境。
前節の横浜戦のように3点リードから
追いつかれそうになったこと。
むかつく清川。
構わず続ける石浜。
甲府にあって、ETUに無いもの。
情熱を持って支えてくれる
沢山の人たちの存在。
もう一度輝こうと必死になって
サッカーに取り組んでいる選手たち。
純粋にプロサッカー選手としての
喜びを感じている自分の気持ち。
他の同じような地方クラブに対する思い。
「だからこそ俺はこのヴァンガード甲府を・・・」
「絶対に1部リーグに残留させなきゃならないんだ！！」
ピッチ上。
清川に競り勝ち
ゴール前にボールを送る石浜。
甲府FWがダイレクトでシュート。
黒田が体で止める。
ルーズボール。
追う両チームの選手。
甲府の選手が追いつく。
ファーサイドのスペースに
クロスを上げる。
抜け出す甲府の11番。
ヘディングシュート。
ループ気味のボール。
キーパーの手、届かず。
サイドネットに吸い込まれるボール。
GOOOOOOOOOAL!!!!
前半25分。
ヴァンガード甲府、先制！
～次回へ続く～
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